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工業会の概要

写真が上達するコツ
第9回 家族写真の楽しみ方・残し方
~簡単魅力アップ!家族写真の撮りかた~

家族全員が一緒に写る「 家族写真 」。前回の第8回では、「 家族写真の撮り方 」を解説いたしました。( 第8回 もっと Motto! 家族写真を楽しもう!~簡単魅力アップ!家族写真の撮りかた~ )写真が形として残っているからこそ想い出されること、想い出される情景があります。WEB写真上達講座の第9回では、撮影した家族写真をより活かす、「 家族写真の楽しみ方・残し方 」を女性の初心者に特化した写真教室を主宰している椎名トモミさんを筆者に迎え、テーマとして取り上げました。

■ 大切な家族写真がデータのままで眠っていませんか?

デジタルカメラが普及して10年以上が経ちました。初めてデジタルカメラを使った時「 撮った写真が直ぐにその場で確認できる 」、「 フィルム代・現像代を気にしないでたくさん撮れる 」といったことに衝撃を受けたものです。

今ではデジタルカメラのおかげで、フィルム代・現像代などを気にせずたくさん写真が撮れます。けれども気軽に撮れる一方で、大切な家族やお子さまの写真がメモリーカードやPC、外付けハードディスクに入ったままになっている方も多いのではないでしょうか。

デジタルデータは手軽で便利な反面、それをいつ失ってしまうか分からない危うさがあります。フィルムの時代であれば、プリントを無くしてしまっても 「 押入れの中を探せばネガがあるかも 」という望みがありましたが、デジタルデータは消えてしまうとそれきりです。

「 写真データを保存していたPCが壊れてしまった 」
「 外付けハードディスクに写真データを保存していたが、子どもがそれを落としてしまいデータが読み取れなくなってしまった 」
「 CDやDVDに焼いて保管していたが、読み取れなくなってしまった 」
「 メディアを無くしてしまった 」

一生懸命撮ったお子さまが小さい時の写真データを、上記のような理由で失ってしまったという話も珍しいものではありません。データ復旧サービスにお願いしてなんとかデータの一部はとりもどせたものの、数十万かかった、それでも全部は復旧できなかった、というようなことも聞きます。

家族写真・子ども写真はプライスレス。お金では買えない大切なものです。大切な写真をデータのままで眠らせておくことのリスクを、多くの方に知っていただけたらと思います。

■ 家族写真はプリントして残しましょう

フィルムで写真を撮っていたころはデジタルカメラのようにそのままで写真を見ることはできなかったので、お店にフィルムを現像に出しました。お店でフィルムを現像してもらうと「 同時プリント 」といって、現像したネガフィルムと一緒に通常はプリントがセットになって手元に戻ってきました。

現像に出した後は、いつ現像から出来上がってくるのか、どんな写真が撮れているのかがとても楽しみで、出来上がるまでの時間をドキドキワクワクしながら過ごしていました。そして、同時プリントした写真はポケットアルバムに入れて家族で楽しんだり友人に見せたり、誰かにあげる時には写真を焼き増しプリントしたものです。

写真の楽しみは「 撮ること 」だけではなく、撮った写真を誰かに見せたり自分自身で見返したりすること。家族写真を楽しむために、まずは写真データをプリントしましょう。

前の章で写真データを失うリスクについて書きましたが、その対応策の一つとして「 気に入った写真をプリントすること 」をお勧めしています。万が一写真データが消えてしまっても手元にプリントが残りますし、何より写真データは「 プリント 」という手に取れる形にすることでこそ生きてきます。

写真データをプリントする方法はいろいろあります。それぞれの特徴を以下にまとめました。自分に一番合った方法で、気に入った写真をプリントしてみましょう。

▼ 図1 プリントする方法と特徴 ( マトリックスイメージ )
いかがでしょうか。私は急ぎの場合は自宅のプリンターもしくは近くの写真屋さんを使い、時間のある時に大量にプリントする場合はネットプリントを利用しています。

写真をプリントすると、他にも良いことがあります。写真は枚数をたくさんとるだけでは上手くなりません。撮った写真の中から自分で気にいったものや失敗したと思うものを見返すことで、「 次はこんな風に撮ってみよう 」 という撮りたいイメージができ、素敵な写真が撮れるようになります。

写真を「 見返して 」「 選び 」「 プリントする 」という行為を通して写真の腕も上がりますので、ぜひ撮った写真は定期的にプリントするようにしてください。

次は撮った写真を楽しむ具体的な方法について紹介します。

■お花を飾るように写真を飾って楽しみませんか

▼ 写真1
テーブルにお花を飾るだけでその場の空気がパッと華やぐように、お部屋に家族写真を飾ると、それを見て暖かい気持ちになるものです。

先日、お客様のご自宅に伺って3世代・3家族の撮影をさせていただきました。親子、兄弟、祖父母と孫、いとこ同士。みんなとても仲が良く、撮影しながら私も幸せな気持ちになりました。そのご家族はご自宅にたくさんの家族写真を飾っていらっしゃいました。日々、飾られた家族写真を目にし、「 家族の幸せなイメージ 」を無意識のうちに家族で共有することが、ご家族の仲の良さにつながっているのかもしれません。

我が家でも気に入った写真は大きくプリントして額装したり、小さな写真は写真立てに入れたりして飾っています。小学校2年生になる息子は時折写真を見て「 この公園、また行きたいな 」と言ってみたり、「 僕、こんなことしていたんだね 」と赤ちゃんの頃の写真を見ていたり、自身の記憶にない時期に想いを馳せるようです。

▼ 写真2  
プリントした写真の飾り方は人それぞれです。
▼ 写真3

 

コルクボードにプリントを留めるようなカジュアルな方法でもいいですし、特に気に入った写真は大きくして額装すると見栄えが良いです。データをアップロードするだけで、額装した写真を届けてくれるサービスもあります。簡単な方法でもいいので、家族みんなが見えるところに写真を飾ってみましょう。

▼ 写真4

 

私は3人姉妹で、お正月には姉妹の家族と両親も含めて4家族が集合します。 毎年その時に集合写真を撮影し、母がその写真をカレンダーにして送ってくれます。こんなふうに実用を兼ねたものもいいですね。

 

■楽しかった思い出写真でアルバムを作りましょう

私はママ向けの写真教室をやっています。参加しているママさんたちに「 撮った写真をアルバムにしていますか? 」と聞くと、こまめにフォトブックなどでアルバムを作っている方と、データのままでまだ手付かずの方に二分されます。 アルバム作りは今すぐやらなくても困らないため、日々の育児と家事で手一杯で後回しになってしまうのでしょう。

家族写真や子ども写真を撮る目的の一つとして「 子どもに想い出を残してあげる 」ということがあります。せっかく撮った家族写真・子ども写真も、データのままでPCやメモリーカードに入っていてはお子さまが手に取ることはできません。忙しい日々の中でも少し時間を作り、ポケットアルバムのような簡単なものでも良いので、ぜひアルバムを絵本のようにお子さまが手に取れる形にしてあげてください。

お子さまが小さい頃に愛情たっぷりに育てられた様子が伝わるアルバムは、お子さまの自己肯定感を育む良いツールにもなります。

まだ十分におしゃべりができないお子さまでも、自分が写っている写真はわかりますので、喜んでアルバムを見てくれます。時には親子でアルバムを開いて「 ○○ちゃんは、この時こんな遊びが大好きだったのよ 」というような話をしてあげると、親子で一緒に写真を楽しめます。

▼ 写真5

まずは、旅行や運動会、誕生日のお祝い。そんな楽しい行事などの家族の想い出写真でアルバムを作ってみましょう。アルバムに使う写真は、単にキレイな写真よりも「楽しい雰囲気が伝わる・後から想い出せるものがたくさん写っている」ことがポイントです。

▼ 図2 アルバムの種類と特徴

「 お子さまがいつでも手に取れる 」ということが大事なので、プリントした写真をポケットアルバムに入れるだけでもいいのです。写真と一緒に思い出のもの( 動物園のチケットの半券や乗り物の半券など ) を台紙に張り付けるようなアルバムも良いでしょう。PCやスマートフォンの操作が苦にならないなら、フォトブックサービスがオススメです。

フォトブックサービスには様々なものがあります。アルバムに使いたい写真を選ぶとソフトが写真を自動配置してくれるものは編集が簡単です。ワンコインで手軽に作れるフォトブックもあります。安いものならお子様が落書きしたり破ったりしても笑って許せます。

▼ 写真6
(左)昔ながらのアルバム (中央)フォトブック (右)ポケットアルバム

 

▼ 写真7
こちらは390円で作れるフォトブック。祖父母に送る分と2冊作りました。

 

▼ 写真8
フォトブックやアルバムには、写真に一言コメントを添えましょう。大きくなったお子さまが見る時の楽しみの一つになります。

 

■長年続けることで家族の歴史になります

「 写真9 」は、伊藤様が毎年家族写真で作った年賀状をアルバムにしたものです。ご子息の結婚式の際、お相手のご家族のご親族様にお見せしてとても好評だったとのことです。

▼ 写真9
最初はお子さまが1人の3人家族でしたが、2人目・3人目のお子さまが誕生し家族が増えていく様子、お子さまたちが年々大きくなっていく様子が1年に1枚の年賀状から伝わります。

年賀状に使われた写真には、その当時の親子関係が垣間見えるものもありました。そのうち結婚した娘さんがご自身で新しい家族を作り、年賀状の写真からいなくなり・・・年に1枚の年賀状を積み重ねたアルバムから、長年の家族の変遷が伝わってきました。たった1枚の年賀状でも何十年も続けると家族の歴史を物語るものになります。このようなアルバムはすぐに作ることはできない分、とても貴重なものだと感じました。

皆さんも写真で年賀状を作っているかもしれませんね。
その時に使う写真はお子さまだけの写真ではなく「 家族写真 」がベストです。年賀状は新年のご挨拶ですので、身内以外は子どもだけの写真を使うのはちょっと寂しい感じがします。やはりご家族も一緒に写った方が良いでしょう。また、お子さまが大きくなった時に「 自分が小さかった頃の両親の姿を見たい 」という気持ちも出てくると思います。特にお子さま自身が親になった時には格別な思いでその写真を見るでしょう。

我が家も息子が産まれてからは家族写真で年賀状を作っています。今後も家族写真で年賀状を作り、伊藤様のようにアルバムに貼って残していくことにしました。

■あとがき

写真データをプリントして楽しむ活用法について書いてきました。
まずは気に入った写真をプリントしてみて、ポケットアルバムや写真立てに入れてみてください。できるところから始めて、撮った写真を定期的にアルバムにしたり飾ったりしてみる。その写真がお子さまとの関係をより良いものにしてくれるでしょう。

■ 写真家 ■ 
1972年生まれ。高校時代から写真を撮るのが大好きで、行事ではいつもカメラ係。WEB制作の仕事をしながら写真を学び、現在フリーのカメラマン・写真講師として活動中。
写真の楽しさを沢山の女性に伝えるために、女性の初心者(ママ含む)に特化した写真教室を主宰しており、2013年~2017年の約5年間で延べ1,900名が受講。ママ向けの子ども写真の撮り方教室では、カメラの使い方だけではなく、写真をアルバムという形にして残すことの大切さも伝えている。

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