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工業会の概要

写真が上達するコツ
第6回 いつもの街を自分色に切り取ろう
    ~ ご近所スナップ撮影のススメ~

 

何度も同じ街でスナップ撮影をしていると、季節に違いはあっても飽きてしまうことがあります。そんなときは、今日だけの「 テーマ 」や「 ルール 」を作って撮り歩いてみましょう。また、楽しい撮影小物を使ったり、テンションが上がるカメラアクセサリーを身に着けて自分の気分を変えることもおススメです。そんな簡単なことでも、目に映る街はいつもとは違ってくるのです。今回は、いつもの街を新しい自分色に切り取る方法をお教えしましょう。

■ アナログな手法で写真のカラーを変えてみる

デジタルカメラでは、カメラ内の画像設定を変えてさまざまな色味を写真に乗せられます。それはそれで楽しいものですが、街中を歩きながら設定をいじっていると楽しいテンションを維持できなくなってしまうこともあります。今回は撮影に集中する意味も含めてカメラ内のカラーコントロールの設定は調整しないというルール「 しばり 」を作ってみました。
身近な街でのスナップ撮影は「 今日は 50mm 単焦点レンズ一本だけで撮ろう 」とか「 赤い被写体だけを狙ってみよう 」というように、その日だけのルールやテーマを作って撮影することで同じ街並みも違う視点から見ることができ、新鮮な気持ちと新しい作品を生み出してくれます。スナップ撮影の気分転換としてはもちろん、最近同じような写真しか撮れないとお悩みの方はぜひ実践してみてください。

▼写真1

一日だけの「 しばり 」を作ってスナップ撮影をすると、ご近所でのスナップも新鮮な気分で撮れるものです。いつもはカメラを向けない造花も、ピンクと黄色のカラフルなグラデーションフィルターを通すとかわいらしく見えました

 

今回、カメラの画像設定を調節しないルールを決めた代わりに、写真の色味を出すために使った道具は、カラーグラデーションの角型フィルターです。一般的なフィルターはレンズの口径にあった丸形をしていますが、このフィルターは正方形をしていて、レンズ先端に装着したホルダーにフィルターを入れて使います。角形フィルターは、複数枚を重ねて使うことで、グラデーションの重ね掛けもできます。

 

▼写真2

劇場の照明のような形状のホルダーとフィルターに装着。
元舞台役者の私にとってはテンションが上がります。撮影を楽しむために自分のテンションが上がる小物を選ぶ時間も楽しいものです。

 

スナップ撮影で楽しい気分になれる小物を探しているときにこのフィルターに出会ったのですが、まずさまざまなカラーのグラデーションがあることに一目惚れしました。グラデーションの位置はホルダーを回転させたりフィルターをスライドさせることで自在に変えられ、ピンクと黄色のカラフルなトンネル効果が得られるかわいらしいフィルターもある……これはスナップ撮影で使ったら絶対にテンションが上がると思い、実際にその通りになりました。

普段は通り過ぎてしまうような何気ないビルや観葉植物、特に特徴のない看板などもグラデーションのカラーフィルターを通すとシャッターを切りたくなります。カメラの画像設定で写真に色味を付けるのも楽しいですけど、その都度立ち止まって設定をいじらないとなりません。グラデーションのカラーフィルターなら、レンズの先頭でダイレクトに操作できるので、カメラより被写体に多く目を向けられます。

 

▼写真3

ビルを真横から一本の棒に見立てて、空の色を濃くするために青いグラデーションフィルターを使いました。時間の経過とともに雲の模様が変わるのでつい長い間撮影してしまいました

 

このスナップ撮影ではミラーレスカメラを使っていたので、フィルターを通した画をライブビュー画面で見ながら街を歩けます。まるでいろいろな色味のサングラスをかけて歩いているようで、とても楽しい気分になりました。その楽しい気分と写真がシンクロしたようで明るいイメージの写真を多く撮っていました。また、普段はスナップ撮影ではカッチリした写真が好きなのですが、グラデーションフィルターに引っ張られてふんわりとした写真が多くなったのも今回のスナップ撮影の特徴でした。まさにいつもの街が違って見えたのですね。

 

▼写真4

上半分に紫色の、下半分に黄色のグラデーションフィルターを重ね掛けして幻想的な雰囲気に。普段は黄色よりも赤や青い被写体を好んで撮っているので、フィルターはあえて黄色系を多く使うようにしてみました

 

▼写真5

今回もっとも使ったのが、周辺をピンクと黄色で囲むようなグラデーション効果のフィルターでした。冒頭のカットはサングラスの写り込みを狙ったのですが、このサングラスは逆に写り込まないように暗い壁の方を向かせて撮りました

 

▼写真6

自分の名前にちなんだカフェの看板を見つけたので黄色いフィルターでふんわりとしたイメージに。カッチリ、ハッキリが好きな私は普段は絶対に撮らないような写真です

■ 自分好みのアクセサリーを身に着けて気分を上げよう

カメラバッグは黒くて大きくて武骨な物と思っていませんか? 探せばこんなにかわいらしいカメラバッグもあるのです。今年はミニバッグが流行りなので、こんな撮影スタイルだと写真を撮りに来ているなんてわからないくらいですね。

このカメラバッグはカメラを持っていないときも身に付けたくなるかわいい色合いで、しっとりとした柔らかいレザーの風合いが特徴です。そしてもちろんカメラバッグなので内側はカメラを傷付けない素材を使っているため、機材の出し入れも安心です。もしカメラ専用ではないバッグを使う場合は、クッション性のあるバッグ・イン・バッグを使うか、クロスなどでカメラを包んで入れると、カメラやレンズの傷を軽減できます。

 

▼写真7

暖かい季節になってコートを脱ぎ捨てたら軽やかな撮影スタイルで街に出かけましょう。いつもよりもフットワーク軽く被写体探しができますよ

 

▼写真8

カラフルなバッグは今年流行りのホワイトコーディネートのアクセントになってくれます。撮影だからってオシャレを諦めないで!

 

また、スナップ撮影ではカメラを斜め掛けにして持ち歩くよりも、ハンドストラップを使って手首に掛けるか、ネックストラップで首に真っ直ぐに掛けましょう。その方が素早くカメラを縦にしたり横にできるので、いざというときにシャッターチャンスを逃しません。人混みを歩くことも多いでしょうから、カメラはプラプラさせずにグリップ部分を握りながら歩くと邪魔になりません。肩に掛けてレンズを外側に向ける持ち方は小さなお子さんの頭に当たって怪我をさせてしまったり、壁にぶつけてレンズが破損する危険があるのでやめましょう。肩に掛ける場合はレンズは内側に、自分の体に沿わせるように持つと安全です。

もちろんカメラに付けるストラップにも気を抜きたくはありませんね。ストラップは常に肌に触れている部分でもあるので、使えば使うほど手に馴染んでいくレザー素材の物は撮影のテンションを上げてくれます。首に掛けるので目立つ色ではコーディネートが難しいと感じて黒や濃い茶色を選びがちですが、白や明るい茶色も服の色とケンカしない色味なのでおススメです。その代わり、ハンドストラップはぜひ派手な色合いに挑戦してください! 深みのある赤は男性でも持ちやすい色だと思いますよ。

 

 

▼写真9

ハンドストラップを明るい色にするとバッグの中で迷子になりにくいのでおススメです。今回は帽子を赤にして色味を合わせてみました

 

▼写真10

白い服はもちろん黒でも赤でもピンクでも、いろんな色味の服と合わせやすい白いネックストラップはおススメです

■ まとめ

写真を撮り続けていると、画に自分の癖ができてしまいます。いつも絞り開放で近接のボケ味のある写真ばかりだとか、広角のヨコイチの写真が多いとか、立ったまま撮ったアイレベルの写真しかないとか……。そのままですと写真がマンネリ化して同じような写真を量産してしまいますので、そんなときは今回のような今日だけのテーマを作って近所をスナップ撮影してみてください。絞りを F5.6 固定にして撮る、レンズを望遠端にしてタテイチ撮影しばりにする、撮る位置も中腰よりも低くする……そんな一見めんどうな「 しばり 」も、撮影をしだすとゲームをしているような楽しい感覚になれます。そしてその楽しい感覚をさらに引き上げてくれる撮影小物とアクセサリーをお供に、街を自分色に切り取りに行きましょう!

著者:水咲 奈々(Nana Misaki)

東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味がわき写真を学ぶ。作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、様々なジャンルの写真家の作品と撮影現場に触れる機会を得る。現在はフリーの写真家として雑誌や WEB、イベントや写真教室など多方面で活躍している。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。(社)日本写真家協会( JPS )会員。

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